経営を永続きさせ、しかも成功させるにはサービス設計は必須です!
目先の売上なんて忘れてしまえ!
百年企業型経営コンサルタントの青木 忠史(あおき ただし)です。
【お坊さんを目指して日々精進中】
今回は、小さな百年企業のサービス戦略として、サービス設計の3ステップをご紹介したいと思います。
- 一点に絞り込み、競合が出てきたらさらに絞り込む
- 常に競合とバッティングしないオンリーワン、ナンバーワンを創造する意思を持ち続ける
- お客様の声を聞き続け、未来へのヒントを常に発掘する
順番に詳しく見ていきましょう。
Step.1 一点に絞り込み、競合が出てきたらさらに絞り込む
現在は同じようなサービスが多いため、競合が出やすい状況になっています。ですから最初からマーケットやターゲットを一点に絞り、競合が出てきたらさらにフォーカスして小さく絞っていくことが重要です。
「そもそもニッチなターゲットを狙っているので、これ以上絞ったらお客様がいなくなる」と思うかもしれませんが、さらにもう一段階絞りましょう。
身近な百年企業から学ぶ絞り込みの例
たとえば、明治12年創業の『ヒサヤ大黒堂』のサービス(商品)は「軟膏」ですが、柱の商品を「痔」に絞り込んで、400年以上事業を続けています。
同様に明治20年創業の『浅田飴』のサービス(商品)は「飴」ですが、喉の不快を解消する「のど飴」にさらに絞り込んでいます。
「何にでも効く」ではなく、お客様のニーズの一点だけに絞って百年企業になっています。
絞り込むことでマーケットを深掘りすることができ、お客様から愛され続けているという好例です。
多くの企業はマーケットを広げようとしますが、そうすると企業のアイデンティティが散漫になってしまうため専門性がなくなり、無個性になってしまいがちです。
工事店の場合
工事店でも次々に登場する競合他社に負けないように、いろいろなことをやり始める会社が多いですが、結果的に専門性が薄れてこぢんまりした便利屋さんのようになってしまい、競争力を失います。
住宅塗装で言えば、塗装の中にあるさらなるニーズに絞り込むことです。それができずに「一戸建てでもアパートでもマンションでもなんでもやります」という会社が多すぎるため相見積もりになり、価格競争となるわけです。
大切なのは一点に絞って、さらに専門性を尖らせていくことです。事業を広げるのであれば、その前に尖らせた事業が当たってからでしょう。当たるまでは一点に絞って集中しましょう。そのようにして「オンリーワン」を目指していくわけです。
Step.2 常に競合とバッティングしないオンリーワン、ナンバーワンを創造する意思を持ち続ける
創造する意思を持ち続けられるかどうかは、自社の事業を「使命」と思えるかどうかに大きく左右されます。
使命を持ち続けると「売れる・売れない」「儲かる・儲からない」を最優先にはしません。
エン・ジャパン株式会社の創業者・越智会長の言葉から感じる強い使命感
使命については、エン・ジャパン株式会社(2000年創業)の創業者・取締役会長、越智通勝氏の「この仕事は私一人になってもやり続ける」という言葉が強烈に心に残っています。
現在2500人ほどいる社員が、まだ1000人くらいのときの言葉ですが、1000人の社員を抱える会社の社長が、「たとえこの仕事が厳しくなっても、私一人でもやり続ける」と言うのです。
その理由を尋ねられた越智会長は、「世の中の人にとってこの仕事が必要だから」と答えたそうです。これがまさに使命感ではないでしょうか。
使命感を持ち続けてきた結果のオンリーワン・ナンバーワン
ユーザー(お客様)は商品やサービスを比較しますから、企業は選ばれようとして価格を下げたり、別のことをやり始めたりしがちです。
しかし、会社を永続きさせるには、安易なニーズに応えての売上重視ではなく「最後までやる」という使命感の方がはるかに重要です。
上の項で紹介した『ヒサヤ大黒堂』は、世界規模で見れば痔の薬の売上ナンバーワンではないかもしれません。しかし、事業としては400年以上続いています。
それは「自社の事業は世の中になくてはならないサービスを提供している」という使命感を、代々の後継者が持ち続けてきた結果なのです。
Step.3 お客様の声を聞き続け、未来へのヒントを常に発掘する
お客様の声には事業発展のヒントがたくさんあります。お客様の欲求は確定的ではなく無限ですから、あるサービスを提供しても、さらに良いサービスを、と要求され続けます。
そして良いサービスを提供しても不満を述べられることもありますが、不満をもらすというのは裏を返せば「この会社ならやってくれるだろう」という期待があるからだともいえるわけです。
そうしたお客様の声に耳を傾け続けることが、次なるニーズを掴む力になると私は考えています。
ただし、前項で挙げた “こぢんまりとした便利屋さん”のように、お客様のニーズに応えて、自社のコアコンピタンス(他者/他社に真似できない核となる能力・強み)とズレたことをやってしまわないように注意も必要です。
お客様の声を聞き続けた百年企業の例:株式会社にんべん
お客様の声を聞き続けた百年企業として私が思い浮かべるのが、日本橋の「にんべん」(1699年創業)です。
最初に取り扱っていた商品はかつお節でしたが、出汁がとれないという料理が苦手な主婦の声に応えて出汁を売り始め、さらに手を加えた調理製品の販売など、お客様の声やニーズに寄り添って、かつお節からサービスを派生させていきました。
今ではアンテナショップで出汁や削り器などを販売し、ダイレクトにお客様の声を聞く場を設けています。
お客様の声を聞く姿勢と、耳を傾け続けることが大事
百年企業を目指していく中小企業の経営者に必要なことは、お客様の声を聞く姿勢です。そして、お客様の声を聞き始めたら、その耳を閉さずにずっと聞き続けなければなりません。
一度でもお客様の声に耳を閉ざしてしまうと、それ以降、お客様は意見や要望を言ってくれなくなるからです。
そうなると独りよがりのサービスになってしまい、先が見えなくなってしまいます。
常にお客様の声に耳を傾け続けることで、みんなに必要とされる企業やサービスになり、百年企業とつながっていくのです。
まとめ
以上、小さな百年企業のサービス戦略として、サービス設計の3ステップをご紹介しました。
- 一点に絞り込み、競合が出てきたらさらに絞り込む
- 常に競合とバッティングしないオンリーワン、ナンバーワンを創造する意思を持ち続ける
- お客様の声を聞き続け、未来へのヒントを常に発掘する
最後までお読みいただき、ありがとうございました。