中小企業の業績改善コラム
『現役経営コンサルタントが活用!業績改善に役立つチェックリスト48』の記事に基づいて、9つのカテゴリーごとに、改善ポイントの詳細をお伝えしていきます。
今回は【#3 商品戦略】。
「商品戦略」とはマーケティング戦略において、どのような顧客に対して、どのような商品・サービス(Product製品・Price価格)を、どのように提供するか(Place流通・Promotionプロモーション)の一連の構想を指しています。
【1】経営戦略
【2】マーケティング戦略
【3】商品戦略
【4】採用戦略
【5】人材育成戦略
【6】会計戦略
【7】経営計画
【8】経営者のブレイクスルー
【9】まとめのマインドセット
業績改善に役立つチェックリスト48
全ての項目を見たい方は
こちらの記事をチェック!
青木忠志(あおき ただし)
■経営コンサル歴20年
■日本建築塗装職人の会 会長
■アサヒリフォーム有限会社2代目代表取締役(現名誉会長)
経営改善実績700社以上・相談実績7,000件以上
『職人の会式 塗装店経営法』開発
『繁盛親方-工事店DXアプリ開発
出版情報
「いちばんやさしい工事店経営の教科書」(ダイヤモンド社)
「のび太くん採用」(サンライズパブリッシング)
「百年企業のつくり方」(フローラル出版)
商品戦略の見直しの前に、商品の設計に関する5ステップもご紹介しておきます。
商品戦略:設計5ステップ
- ステップ1:顧客に提供する「商品・サービス」の「価値」を考え、「商品・サービス」のコンセプトを設計する
- ステップ2:どのように生産していくのかを設計する
- ステップ3:どのようなパッケージにするのか設計する
- ステップ4:どのように流通させていくのか(販売していくのか)設計する
- ステップ5:どのようなサポートをするのか設計する
この記事では、あくまでも企業の90%程度を占める年商3億円以下を対象とした中小企業に即効性のある経営コンサルティング的な提案をテーマとしていますので、「経営戦略的な知識」に深入りしすぎず、中小企業の現場で求められている具体的・実践的な目線での提案をさせていただくこととします。
パッケージデザインを変えてみることはできないか?
商品戦略からの業績改善の1つ目の視点は「パッケージデザインを変えてみることはできないか?」です。
なぜなら、業績が低迷する中小企業の多くには、デザインに力を入れていないということがあるからです。具体的には、「うちは良い商品を作っている」といういわゆる「生産」部分に比重を置いてはいるものの、パッケージに力を入れていないケースです。
デザインが売上を変えるという例は、「デザイン 売上」で検索すると沢山の事例が出てきます。
モノとしての「商品」を扱っているわけではない会社さんの場合は、名刺・会社案内・サービス案内・WEBサイトなどのデザイン戦略に取り組んでみることをおすすめしています。
今の自社のデザインが、顧客に提供する「価値」を表現できるデザインなのかどうか、改めて、構想をし直してみませんか?
看板や店舗外装を新しくできないか?
商品戦略からの業績改善の2つ目の視点は「看板や店舗外装を新しくできないか?」です。
(看板や店舗外装が、商品戦略だとは思わないのですが、このコラムの流れとして、上の項で「デザインを変えてみる」がありましたので、その次に記載することにしました)
単純な話、「看板をきれいにする・デザイン化する」だけでもお客様には「しっかりとしたお店だ」というメッセージを伝えることができるからです。サービスの中身とは全く関係がなく、看板にはそのような力があるからです。特に、地域密着型の店舗の場合、看板と店舗外装のデザインは、これからの時代に生き残っていくためには必須事項になってくるでしょう。
原理原則としては以下のとおりです。
地域密着型店舗の看板の原理原則
- ラーメン屋ならラーメン屋ぽく、お客様の認知に合わせた看板が望ましい。(お客様のイメージに沿わない看板などを設置すると何屋さんか分かりにくくなり、集客に悪影響が出る可能性がある)
- 男性がメインユーザーの場合、太くて大きな文字のほうがしっかりとしたお店に見え信頼を得やすく、細くて小さな文字にすると頼りなく感じる
- 女性がメインユーザーの場合、ユーザーが求めているフィーリング・雰囲気を表現できている看板・外観が望ましい(美容院など)
- 食料品・日用品などの場合、女性が買い物に行くとしても、生活に関わる食料品のような合理的な買い物基準の場合は男性寄りの看板イメージ。普段のスーパーでは販売していない付加価値を求める食料品などを扱うスーパーの場合は、女性寄りのイメージの看板が望ましい
とは言っても、何屋さんか分かりにくい看板は全てにおいて避けたほうが無難でしょう。
つまり、看板もユーザーファーストで制作をするということになりますね。
価格設定を上げて、サービスを見直してみることはできないか?
商品戦略からの業績改善の3つ目の視点は「価格設定を上げて、サービスを見直してみることはできないか?」です。
なぜなら、業績を改善しようと考える時には一般的な中小企業経営者は、「お客様が買ってくれないのなら価格を下げなければいけないのではないか・・・」と無意識で考えがちだからです。
しかし、マーケティング戦略においても価格を下げる戦略は、市場の中のターゲットに自社サービスが提供できていて、さらに多くの市場を狙っていくときの戦略であり、まだ売れていない・まだお客様の目に留まっていない段階においては、他社には無い付加価値を加味して、価格を高めに設定して販売するのがマーケティング戦略の基本だからです。
また、価格を上げることで、経営者はより一層の本気のお客様に絞り込む眼を持てるようになり、価格を上げた分以上の良質なサービスを提供しようと思えるようになるでしょう。
では、具体的に追加したい付加価値の一例とは?
- アフターフォローや保証を追加する
- 商品の選択肢やトッピングを増やす(増やして、選び方を付け加えてあげる、もしくは減らして分かりやすくする)
- サービス量を増やす(もしくは減らす)
- おまけをつける(もしくは減らす)
など、です。このようなことは、今日から今すぐ、どの会社でも比較的にすぐにできる「付加価値」ではないでしょうか。
メインサービスの前に、フロントエンドサービスを提供できないか?
商品戦略からの業績改善の4つ目の視点は「メインサービスの前に、フロントエンドサービスを提供できないか?」です。
具体的には、フロントエンドサービスは集客用のサービス、バックエンドサービスは収益用のサービスです。ただし、昔からの地域密着事業者の多くはこれを行っていないことがほとんどです。
よくあるフロントエンドサービスの例
- マッサージ初回のみ1,000円20分間(通常は1回4,800円45分間)
- 居酒屋のランチ680円(夜は1人単価3,000円前後になりますね)
- 無料ソフト(使用制限を解除するためには有料版へアップグレード)
- 玉子焼き1切れどうぞ(あーん。おいしいでしょ)→(今晩のおかずにどうですか?1本600円)
など、です。
いきなり高額サービスを購入することはできないので、まず、はじめにお試し商品サービスのようなフロントエンドサービスを提供できないかを考えてみてはいかがでしょうか。
商品のライフサイクルを予測しながら、次の新サービスを開発できないか?
商品戦略からの業績改善の5つ目の視点は「商品のライフサイクルを予測しながら、次の新サービスを開発できないか?」です。
なぜなら、ある商品サービスが売れにくくなくなる時というのは、競合他社の商品サービスでも同じようなものが出てきた時と考えられるからです。
そこで、そのような時が来る前から、現在の商品サービスが標準化してしまうこと(自社と同じクオリティの競合他社商品が市場に蔓延してしまうこと)をイメージした上で、次にお客様が求めていることを考え、今の商品サービスにどのような新しい付加価値をつけていくかを具体的に考え、開発を行いましょう。
エキスパートコンサルタントが提案する新サービス7つの視点
- 既存サービスの欠点をリストアップする。そしてそれを補うサービスはできないかと考える。
- 既存サービスに対して顧客が感じている不満をリストアップする。そしてそれを解決できないかと考える。
- 既存サービスと相性の良い他のサービスをMIXすることはできないかと考えてみる。
- 全く関係無い部外者にサービスに対する批評を求め、気づいていない気づきを得てみる。
- 先入観が入っていない業務経験の浅い社員に、斬新な意見を求めてみる。
- 既存サービスと同等レベルのサービスを競合他社も既に作り上げているという前提で物事を考え、その時点での顧客の悩みを想像してみる。
- そもそも「既存サービスが要らなくなるサービス」は何かと考えてみる。
上記を常に頭に入れておくだけでも、日々をイノベーションし続けることができるのではないでしょうか。
お疲れ様でした。以上が、「商品戦略」からの5つの見直し・改善ポイントです。
次は、【業績改善シリーズ #4 採用戦略】についてです。
累計700社以上の中小企業の
“経営危機”と“業績改善”の
一部始終を間近でみてきた、
現役経営コンサルタントが活用する
【チェックリスト48】の全項目を公開!
まとめ記事はこちらをチェック!