【#8.中小企業経営者のブレイクスルー】事業継続・成長のための8つの方法

中小企業の業績改善コラム

現役経営コンサルタントが活用!業績改善に役立つチェックリスト48』の記事に基づいて、9つのカテゴリーごとに、改善ポイントの詳細をお伝えしていきます。

今回は【#8 経営者のブレイクスルー】。
経営者は、起業の時には誰しも革新的であったにも関わらず、事業が発展することで、その業界に埋没してしまい、いつしか時代遅れとなっている自らの思考にも気が付かなくなってしまう可能性があります。

【1】経営戦略
【2】マーケティング戦略
【3】商品戦略
【4】採用戦略
【5】人材育成戦略
【6】会計戦略
【7】経営計画
【8】経営者のブレイクスルー
【9】まとめのマインドセット

その結果が、事業が10年以上持たないという理由であったり、経営者が中高年になってから事業の成長が鈍化する理由でもあると、私は思います。

特に、若い時期に一段事業を成長させた経営者ほど、その当時の成功が固定概念化しないためにも「自分自身のブレイクスルー」が大切であると考えております。

そこで今回の記事では、「経営者自身のブレイクスルー」の方法を8つ提示します。

業績改善に役立つチェックリスト48
全ての項目を見たい方は
こちらの記事をチェック!

この記事の著者です!

青木忠志(あおき ただし)

■経営コンサル歴20年
■日本建築塗装職人の会 会長
■アサヒリフォーム有限会社2代目代表取締役(現名誉会長)
経営改善実績700社以上・相談実績7,000件以上
『職人の会式 塗装店経営法』開発
『繁盛親方-工事店DXアプリ開発

出版情報

「いちばんやさしい工事店経営の教科書」(ダイヤモンド社)
「のび太くん採用」(サンライズパブリッシング)
「百年企業のつくり方」(フローラル出版)

目次

日本国内全ての同業他社を調べてみる

「経営者のブレイクスルー」の1つ目の視点は、「全ての同業他社を調べてみる」です。

具体的な調べ方は、インターネット検索等で北から南まで全て調べていくことです。これを行うことで期待できる効果は以下のとおりです。

  • ユニークな同業他社を発見することができる
  • 多くの同業他社は似たようなことを考えていることを理解することができる
  • 上記の結果、自社独自の魅力自社がやりたい方向性なども見えてくる

現実の今の業界を、再度見つめ直すことで、地に足がついた経営を考えられるようになるでしょう。また、漠然とした不安から解放されるのではないでしょうか。

仮に業績が低迷している時期などは、時間があるわけなので、セミナー等に参加して断片的な情報だけに満足するのではなく、実際に自分自身の目で同業他社を見てみるということも大切な情報収集です。

To Do Listの整理を毎朝実行する

「経営者のブレイクスルー」の2つ目の視点は、「To Do Listの整理を毎朝実行する」です。

なぜなら、業績が低迷している経営者は思考が混乱してしまっていることもよくあるからです。思考の混乱を解きほぐすためには、まず「To Do List」の整理から始めましょう。

  • 自分がやるべきことをスプレッドシートなどに一覧に書き出します
  • 期日が決まっているものは、実行する日をカレンダーに入れます
  • 毎朝確認します。
    (日々に新しいTo DO Listが増えてきて、優先順位が日々に変わることがあるからです)

これは、経営者の基礎訓練のようなものだと位置付けてまずは実行していきましょう。

混乱に対する自分なりの対処法を構築する

「経営者のブレイクスルー」の3つ目の視点は、「混乱に対する自分なりの対処法を構築する」です。

なぜなら、業績が低迷してしまう経営者は能力が無い場合だけではなく、混乱に巻き込まれてしまい、本来の力を発揮できなくなってしまうというケースも比較的多くあるからです。

そこで、私が接してきた経営者自身の代表的な混乱と対処法を以下に記載しておきます。

経営者の混乱対処法
自分の時間
キャパオーバー
冷静にカレンダーに記載していくことで
自分の時間感覚を掴むことで解決していく。
自分の能力
キャパオーバー
自己の能力を見極め、
不足している知識の習得目標を持つ。
予期せぬ人間関係のトラブル
(社員・お客様)
人が集まれば多少のトラブルはつきもの。
「心の修行」と思って焦らず解決する。
お金の不安日頃から管理会計を行っておき、
月次決算での利益が出る経営スタイルを目指す。
家族の問題避けられない魂修行だと思って受け入れ、
それでも家族を愛する。

繰り返しになりますが、全ての中小企業経営者が仕事能力が足りなくて業績向上を実現できないのではなく、仕事能力以外の面でのいろいろな障害が発生するため、業績の向上を実現できないというケースが多く見られてきたということでもあります。

その混乱に対する対処法というか、その「いなし方」(相手の力・トラブルが、自分が進む前進方向を妨害しているのであれば、その方向から反らすテクニック)「受入れ方」が経営者にとっては必要でもあると感じております。

これは、経営者が経営者人生の中で、自分なりのコツを体得していくことしかないと思います。

体を鍛える

「経営者のブレイクスルー」の4つ目の視点は「体を鍛える」です。

なぜなら、人間は誰でも加齢と共に肉体が衰え、活力・意欲が落ちてきて、若い時期ならたいした問題ではないと感じるようなことに対しても、中高年になるとストレスを感じるようになってしまうようになり、経営を前進させる力を失ってしまう傾向にあるからです。

経営者が体を鍛えるために、もっとも有効的なものは「パーソナルジムでのウエイトトレーニング(週1回程度)」であると、私は考えています。その理由は以下のとおりです。

  • ウエイトトレーニングは常に自分の限界にチャレンジさせられることから経営とよく似ている
  • パーソナルジムのコーチに指導を受けることで経営者としての慢心も防げる
  • 常に体調面を客観的に観てもらうことにより生活習慣病や大病などの予防にもなる
  • 室内で行うため雨天でも関係なくできて継続性が高い
  • チームスポーツではないので他人に気兼ねせず自分1人で取り組むことができる
  • 年齢的な制限はないので何歳になってもできる
  • 体が魅力的になればマネジメントにも良い効果をもたらす

これらのことから、経営者が体を鍛えるのなら、私はウエイトトレーニングをおすすめしています。

情熱を高める工夫を行う

「経営者のブレイクスルー」の5つ目の視点は、「情熱を高める工夫を行う」です。

なぜなら、私は経営コンサルタントとして、全く同じ業種で同じサービスを提供している経営者の方々を同時に何人もコンサルティングをしてきましたが、全く同じ内容を指導をしても、情熱が高い方のほうが成果が上がる確率が高いということを何度も経験してきたからです。

つまり「経営戦略」などのノウハウも重要ですが、それ以上に経営者の情熱が高いことが大切でもあるということです。

では、情熱はどのようにしたら高まるのでしょうか?これは私自身の私見と経験則にもなりますが。

  • 情熱の高い人と接する
  • 自分の専門領域を磨き続ける
  • 自分の人生を振り返り、自分のやるべきことを明確に探し出す
  • 自分の人生の最後の日を予測して、その日までにどのような人生を生きていくかを考え、答えを出す

一般的には、情熱の高い方というとスポーツ選手や歌手などを想像することが多いかもしれません。そのため、情熱を高めるためには、スポーツを行なったり、カラオケを行なったりすることと思われている人も少なからずいるように感じます。

しかし、必ずしもそうではなく、仕事面において、情熱的な人と接することを考えてみてください。「情熱的なコンサルタントを雇う」ことも自らの情熱を維持するための方法の1つかもしれません。

また、意外にも感じるかもしれませんが、オタクと呼ばれる方も専門領域を追求している方なので高い情熱を持っていたりします。

まずはそのような人と接することからはじめ、彼らと同じく「自分の専門領域を磨き続けること」を意識し、その後、自分の人生の生き方を明確に決めていくことで、人からは「情熱が高い人」と見られていくようになるのではないでしょうか。

肩書・経歴を作り直す

「経営者のブレイクスルー」の6つ目の視点は「肩書・経歴を作り直すこと」です。

それが必要な理由は以下の2つです。

  • 普段見ている当たり前の世界を「新しい自己」で見つめ直すことにより、これまで発見できなかったものを発見できるようになるから
  • 周りからの見られ方が変わり人間関係構築が替わり、仕事の流れが変わるから

具体的に、私の肩書は以下のように変えています。

「塗装屋さんのチラシマーケター」
→「塗装店の経営コンサルタント」
→「経営コンサルタント」(建築塗装業界出身)

 また経歴は以下のとおりに変えています。

塗装屋さんのチラシマーケター時代(2010頃)
チラシ1枚でお客様の行列をつくる塗装屋さんのチラシマーケターとして◯◯◯店舗へのマーケティング指導実績を持つマーケティングコンサルタント。◯◯◯◯というマニュアルをまとめて腕の良い塗装屋さんの業績向上を支援。日本建築塗装職人の会の主宰

塗装店の経営コンサルタント時代(~2015年頃)
エリアマーケティング・WEBマーケティング・人材採用組織戦略などを通して塗装店経営を指導する日本で唯一の塗装店経営に特化した経営コンサルタント。「職人の会式塗装店経営」は日本全国◯◯◯社の塗装店が取り組む業界のスタンダードとなっている。「工事店経営の教科書」(ダイヤモンド社)をはじめ、塗装店経営に特化した経営ノウハウを体系化し、塗装業界の健全発展を支えている。日本建築塗装職人の会会長。社会文化功労賞受賞(2012年度)

経営コンサルタント時代(2016~現在)
高額商材のためマーケティング&営業困難・不人気業界のため人材採用困難&教育困難・見積方式の工事のため管理会計力を求められる塗装店経営で培った『健全堅実経営戦略』、言い換えると『100企業型経営戦略』を通して、地域密着型の中小企業に健全経営を指導している。また、現在も日本建築塗装職人の会会長を兼任しながら、他業界への経営指導も行う実践派の経営コンサルタントである。社会文化功労賞受賞(2012年度)エキスパートコンサルタント養成プログラム開発

創業の時と同じ肩書を30年経過した今でもつけている中小企業経営者も居ます。そうではなく「新しい未来」を創造していくのであれば「望んでいる新しい未来」から逆算した「新しい肩書」と「新しい経歴」を考案していくことが、ここで求めていることです。(※私の例はあくまで参考例としてください。)

髪型・服装を変える

「経営者のブレイクスルー」の7つ目の視点は、「髪型・服装を変えること」です。

どちらかというと、すぐにでも変えたほうが良いのは髪型です。できれば、その時、その時、流行っている髪型に変えていくことをオススメしています。(丸坊主の私が言うには説得力が無いですかね…笑)

20代の時の髪型を50代・60代・70代になっても行っている弊害は、今どきの若い方々から「古い人」と思われてしまいやすく、若い人の心を掴みづらいということです。すると、採用やマネジメントにも悪影響を与えないとも言えません。

また、服装においても日本人は特にまわりの人や同じ業界の人と似たようなファッションをしがちです。私が子供の頃は、「大人になったら黒いスーツを着なければいけないのかな」(大人は皆、黒いスーツを着ているので)と思い込んでいましたが、本来、自分が着たいスーツを着ても良いわけですよね。

特にスーツにおいては、日本人は目立たないことをモットーにしているようであり、自分が好きなスーツを着てみるだけでも目立つようになり、注目を集めることができるようになります。注目を集めることができれば、その後、人を集めることにも繋がります。

このように、ごく身近にあることで、多くの人が気が付かない業績向上のヒントが、「髪型・服装」であると理解していただき、実践をしてみてください。

オフィスのレイアウトを変える

「経営者のブレイクスルー」の8つ目の視点は「オフィスのレイアウトを変えること」です。

実際、オフィスのレイアウトを変えることで得られる効果はたくさんあります。

  • 席が替わることで、モノの見方が変わり、新鮮な眼を持つ
  • レイアウトを変える際に、要らないモノを処分(断捨離)でき、その結果、未来へ前進する
  • レイアウトを変える時に、組織図を考え直す機会になる
  • レイアウトが変わると社員のモチベーションも上がる
  • 沈殿する空気の流れを変えることもできる
  • 古くなったデスク・チェアを新調してもOK

成長する企業の場合、席替え・模様替えが頻繁に行われております。一方で、低迷している中小企業は30年以上も前の環境の状態のまま継続していたりします。

「場」の流れを変えるために、オフィスのレイアウトを変えることは特効薬的でもあるので、月に一度目安で実行してみましょう。


お疲れ様でした。以上が、「経営者のブレイクスルーからの業績改善の視点」です。

経営者の「思考」を変えることが業績の向上に繋がりますが、「思考」を変えるためには、セルフイメージや環境や行動を変えることが重要であるという視点からの提案でした。

次は、いよいよ最後のコラム【業績改善シリーズ #9 まとめのマインドセット】についてです。

累計700社以上の中小企業の
“経営危機”“業績改善”
一部始終を間近でみてきた、
現役経営コンサルタントが活用する
【チェックリスト48】の全項目を公開!
まとめ記事はこちらをチェック!

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