8,690件
この数字、なんだかわかりますか?
この数字は2023年の1年間で倒産してしまった企業の数です。(引用元:東京商工リサーチ)
ちなみに2024年の倒産件数は上半期ですでに約5,000件。このペースでいくと、2013年以来の年間1万件を超える見込みとなっています。
青木忠志(あおき ただし)
■経営コンサル歴20年
■日本建築塗装職人の会 会長
■アサヒリフォーム有限会社2代目代表取締役(現名誉会長)
経営改善実績700社以上・相談実績7,000件以上
『職人の会式 塗装店経営法』開発
『繁盛親方-工事店DXアプリ開発
出版情報
「いちばんやさしい工事店経営の教科書」(ダイヤモンド社)
「のび太くん採用」(サンライズパブリッシング)
「百年企業のつくり方」(フローラル出版)
コロナによってビジネスのあり方が大きく変わりました。このような時代背景から、「DX推進を進めて時代の変化に乗らなければ」や 「MAを導入して自社のマーケティングをよくしよう」という様に、デジタルトランスフォーメーションに精を出す中小企業も少なくありません。
ところが、これはあくまで私の個人的な印象ですが、中小企業では、業績改善のために急いでDXを進めたり、MAを導入しても、実際にそれらを有効活用できたり、うまく運用して業績改善に繋げている企業はほとんど無いと感じます。
私はこれまで15年以上に渡って、中小企業に特化した経営コンサルタントに従事してきて、累計700社を超える企業の “経営危機”と“業績改善”の一部始終を間近でみてきました。
その様な中で、企業が短期・長期、両方の側面で持続的な利益を出し、業績改善をするには、“本質的な”企業の内部改善が非常に重要だと、年々本当に強く感じているからです。
業績をV字回復させる企業の共通点
日々の経営コンサルティングをする中で、業績を見事にV字回復させる企業には共通点があります。
それは、“外部要因”ではなく、しっかりと“内部要因”に徹底的に向き合い、愚直に改善アクションを行える企業だということです。
本当に細かいボトルネックの改善を積み重ね続け、自社の市場における本当の優位性に気づく企業は本当に強くなります。
「経営の全体像」の理解と「業績改善」の3ステップ
チェックポイントを見ていく前に、まず業績を改善していくためには、経営の全体像を理解していただくことから始めます。中小企業においても、経営の全体像は以下の図のようになっています。
そして、業績を改善する大きな流れは、以下の3ステップです。
Step.1 現状を把握する
まず、会社のどの分野に、どのような課題があるのか、自社の経営の現状を把握します。
チェックリストで紹介している項目を一通り目を通しながら、自社の経営を見つめ直していきましょう。
Step.2 具体的な目標を掲げる
現状把握が出来たら、次は業績改善目標を具体的に掲げます。
いつまでに・どのような状態になりたいか?を、具体的数値化をして明確にしていきましょう。
Step.3 計画を立てる
最後に計画を立てていきます。実は、現状把握が正確に出来ており、かつ明確な目標が見つかっていれさえすれば、計画を立てることはそれほど難しいことではありません。
むしろ「計画を立てることが苦手…」という方は、現状把握が正しく出来ていなかったり、目標設定が間違っていたりすることがほとんどですので、上記①②を見直しながら、計画を立ててみましょう。
業績改善のためのチェックリストの48項目
これまで700社以上の中小企業をコンサルタントをしてきた私が、実際に業績改善に着手する際の本質的な改善チェックポイントのみを精査して48個にまとめ、それらをチェックリストとして活用できるようにしました。
各項目の詳細は、それぞれ記事にまとめましたので、より深く理解したいという方は、各記事もお読みいただけると嬉しいです。
中には「こんなこと当たり前じゃん」「何を今更」と思われる内容もきっとあるはずです。 ただそれでも多くの企業再生を間近でみてきた私が、本当に重要だなと心から感じるものをチェックリストにいれたので、改めて真剣に向き合ってみていただけましたら幸いです。
【1】経営戦略
- 1-1.広げすぎている事業の撤退はできないか?
- 1-2.「経営者の強み」に基づいた事業に「再構築」してみることはできないか?
- 1-3.自社を「専門分野」に特化させ、「圧倒的な強み」を作ることはできないか?
- 1-4.「屋号や商品名」を変えてみることはできないか?
- 1-5.元請企業様に対してサービス提供できないか?
- 1-6.コンサルティング展開ができないか?
- 1-7.バックエンドサービスをトコトン作れないか?
【2】マーケティング戦略
- 2-1.メイン商品を「今すぐ客」だけに売ることを考え、マーケティングステップを再設計できないか?
- 2-2.リストを収集してダイレクトマーケティングをかけてみることはできないか?
- 2-3.顧客様から紹介促進を促すことはできないか?
- 2-4.マスコミを活用することはできないか?
- 2-5.集客用の小冊子を作成することはできないか?
【3】商品戦略
- 3-1.パッケージデザインを変えてみることはできないか?
- 3-2.看板や店舗外装を新しくできないか?
- 3-3.価格設定を上げて、サービスを見直してみることはできないか?
- 3-4.メインサービスの前に、フロントエンドサービスを提供できないか?
- 3-5.商品のライフサイクルを予測しながら、次の新サービスを開発できないか?
【4】採用戦略
- 4-1.会社の経営理念・経営ビジョン・価値観を設計できないか?
- 4-2.理念&ビジョン&価値観マッチング採用だけに絞った採用を行っているか?
- 4-3.自分(経営者)にとっての補完関係になる人材を採用できているか?
- 4-4.経験豊富な年長者を採用することはできないか?
【5】人材育成戦略
- 5-1.組織図を明確にできているか?
- 5-2.業務マニュアルの作成ができているか?
- 5-3.社員の仕事能力を「見える化」できているか?
- 5-4.部門ごとに「責任者」を任命できているか?
- 5-5.責任者を変えられないか?
【6】会計戦略
- 6-1.経費の見直しができないか?
- 6-2.仕入れ先・外注業者(原価)の見直しができないか?
- 6-3.新品ばかり購入していないか?
- 6-4.社屋・店舗を購入しないよう気を付けているか?
- 6-5.内部留保目標を持っているか?
【7】経営計画
- 7-1.過去3年分の『売上実績表』を作成してみる
- 7-2.損益計算書と貸借対照表の過去5年間比較をしてみる
- 7-3.退社社員の退社原因を振り返ってみる(過去5年間)
- 7-4.「経営ビジョン」を振り返ってみる(過去5年間)
- 7-5.現在の経営課題を書き、理想の未来の会社の状況も書いてみる
- 7-6.簡易版・単年度経営計画書(A4・1枚)を書いてみる
【8】経営者のブレイクスルー
- 8-1.日本国内全ての同業他社を調べてみる
- 8-2.To Do Listの整理を毎朝実行する
- 8-3.混乱に対する自分なりの対処法を構築する
- 8-4.体を鍛える
- 8-5.情熱を高める工夫を行う
- 8-6.肩書・経歴を作り直す
- 8-7.髪型・服装を変える
- 8-8.オフィスのレイアウトを変える
【9】まとめのマインドセット
- 9-1.「日々に小さなイノベーション」を起こし続けよう。
- 9-2.他社を見つめるよりも「自社の強み」を見つめ「自社の強み」を育て続けよう。
- 9-3.「今やるべきこと」をやり切る。その先に新しいことがあるのだから!
チェックリストはこんな方に試してもらいたい
- 中小企業の経営者や部長
- マーケティングの仕事に携わる方
- フリーランスで仕事をされている方
- あらゆる職種のコンサルタントの方
細かいテクニックやマーケティングのフレームワークを期待されている方には、あまり合わない記事かもしれません。
しかし、どの人にも本質的に役立つ業務改善の切り口をまとめているので、きっと自社のビジネスのあり方を考え直すきっかけになったり、業務改善のヒントに生かせるものはあると思います。
ぜひこの記事を参考に1つでも業績改善のアクションに繋げてみて成果を出していただければ幸いです。